29日(土)、東京競馬場でのメイン競走では、白富士S(L)が行われる。
人気の中心となりそうなのは、明け4歳のいわゆる黄金世代と呼び声高いディープモンスター、グラティアス、アドマイヤハダル、ジャックドールなどの4頭だ。
好メンバーが揃う中、虎視眈々と1発を狙っているのが、ラインベック(牡5、栗東・友道康夫厩舎)だ。今回は、3度の騎乗経験がある岩田康誠騎手が手綱を取る。
同馬は、父ディープインパクトと母アパパネの間に生まれた良血中の良血だ。両親併せて12冠という輝かしい成績もあって、デビュー時から大注目を浴びた馬だ。デビューから2連勝で臨んだ初重賞・東京スポーツ杯2歳S(G3)では後に3冠馬となるコントレイルの3着に敗れるも、これからの成長が楽しみな印象があった。
続くホープフルS(G1)では4着に終わり、年明けには若駒S(L)に出走したが、ここで1番人気を裏切り、3着に敗れた事で歯車が狂いだす。本番のクラシック第一戦の皐月賞(G1)に出走こそしたものの、15着と大惨敗。人気も14番人気と低評価で、この馬に対する競馬ファンの扱いが変わってきた。
その後NHKマイルC(G1)で8着に敗れ、夏以降はどこに出走してくるのかと思われたが、初のダート戦を使ってきたことには驚いた。そしてそこで2番人気に支持され勝利を収める。意外だったが、結果は結果。ダートへ矛先を変えて新しい道が開けるかに見えた。
しかし、そう簡単にはいかないのが競馬の難しいところだ。その後人気上位ながらダートで3戦して7、9、9着と掲示板にも載れない敗戦が続いた。
そこから半年の長期休養を経て昨年の一戦目に選んだのは、芝のレースだった。馬体重もプラス22キロと皆半信半疑で見ていたが、結果は見事な逃げ切り勝ち。この馬には意外性という言葉がよく似合っていると感じた。
そして2走前の新潟記念(G3)で5着、前走のディセンバーS(L)で4着と崩れる事なく、今回の白富士Sに臨む。前走後、騎乗した石橋脩騎手が「ワンターンの競馬場の方が良い」というコメントをした通り、東京の2000m戦を選んできた。黄金世代が人気を背負いそうなので、ここも気軽な立場だ。
2走前の新潟記念の出走メンバーが、その後3、4戦以内に馬券内に入り波乱を演出するケースが多いため、ここはラインベックに白羽の矢が立つのは当然。アッと驚く激走に期待したい。
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